面白かった場所
~東京都台東区上野公園~
黒田清輝といえば誰でも「湖畔」を思い出す。
しかし、それをどこで見ることができるかを知る人は少ないであろう。
「湖畔」は、上野の森の美術館群の中に、ひっそりと建っている「黒田記念室」にある。
この樹木に囲まれた昭和初期の建物は、静寂な雰囲気で入館者を迎えてくれる。
部屋に入ると、まず目につくのが正面の壁に掛かっている「湖畔」である。
実物は写真で見るより全体に淡い色彩で描かれている。
この絵は黒田が三十一歳の夏に、夫人を伴って箱根に滞在し、芦の湖畔で急に思いたって照子夫人を傍の岩に腰かけさせて、ぶっつけにカンバスに描いたものである。
うちわを手に持った女は、フランス留学の永い黒田好みの、エキゾティックな端麗な容姿で、湖を渡る涼風が感じられる情緒的な作品である。